元新聞記者の「世界道中、旅の途中」

元 新聞記者 世界一周旅記録

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【スーダン】ジキルダンス。墓地でダンス・ダンス・ダンス!!!

  故人の絵を記したルーマニアの陽気なお墓、石像が美しいウクライナの墓地。どういうわけか墓地というものに興味がある。イスラム教国のスーダンでは、墓地の中心で踊り狂う「ジキルダンス」という行事があるそうだ。これが予想を超えて素晴らしかった。

 

スーダンのジキルダンス 

 スーダンの首都・ハルツームから車を走らせて約30分のところに、周辺で最大のジキルダンスが行われる街、オンドルマンがある。イスラム教の服に身を包んだ人々が、こんもりと人型に盛り上がった土の間を縫うように歩き、中心のモスクに向かう。流れに従ってモスクに近づくと、人だかりが見えてきた。

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 楽しそうな音楽に誘われて人垣をかき分けると、5、6人がタンバリンを手に満面の笑顔でぐるぐると歩き回っている。それを囲む観衆も笑顔でとても楽しそう。これまで見てきたイスラム教徒がお祈りする姿はなんだか近寄りがたい雰囲気だったけど、みんなやけにフレンドリーだ。写真を撮ることだけで警察に事情聴取されることもあるスーダンで、「写真を撮れ撮れ」とばかりに笑顔で写真に応じてくれる人もいて驚く。

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アフリカとイスラム 

 アフリカでイスラム教を信仰する国は少ない。旅行者が渡航できる国ではスーダンだけといってもいいかもしれない。アフリカの開放的な人柄に、敬虔な信仰心を持つ人が多いイスラム教を組み合わせると、こんなにも面白い雰囲気が生まれるのか。それを見られただけで、ビザと滞在証明書の高いお金を払った価値はあったなあ、と満足していると、後ろの方からさらににぎやかな音楽が聞こえてきた。どうやらこれからが本番らしい。

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「祭り」は盛り上がり、、、

 どんと威勢よく登場した連中ははっぴみたいにきらびやかに飾ってお祭り気分だ。 マイクで流れる歌とともに、たくさんの楽器の音色、人の歓声が混じり合い、どんどん盛り上がってくる。つられて、こちらも気持ちがハイになってくる。

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老人も障害者も

 よく見れば、そこには本当にいろんな人がいる。ぐるぐるとひたすら回り続ける老人、あるいはただのそのそと周りを練り歩いて観衆を見つめる人。ある人は片足が不自由で体育座りみたいな体勢で足1本と手を使って器用に歩いている。涎をだらだら垂らした老人が歩いている。そこへ人々が握手し、抱き合っている。

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 裸足の観衆は体を前後に揺らし「アッラーアッラー」と熱心に唱えている。服装にも踊りにも統一感はない、しかし、会場は異常なまでの一体感に包まれている。怖いくらいだ。日が暮れだし「祭り」が終わりが近づくと、感極まって泣き出す人もいる。

  そこには、人の優劣とか、差別が存在しないような気がした。輪の中に入れば、一くくりにしてみんな一緒なのだ。世界のあるべき姿がそこにはあるような気がした。

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旅メモ

 ジャクソンバス乗り場からミニバスでHamed alnilもしくはHamed el-nil cemeteryと伝えれば行ける。毎週金曜日で、日暮れまで。今回は5時半くらいに本祭が始まった。