元新聞記者の「世界道中、旅の途中」

元 新聞記者 世界一周旅記録

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【ギリシャ】いま幽霊が通った、とかなんとか

 ギリシャアテネで滞在して4日間くらい。相も変わらず大学生のA君と一緒にいた。2日後にはエジプトに出発する。最後のヨーロッパ。少し緊張するアフリカ編を直前に控え、2人とも高揚気味だ。その夜、奇妙なことが起こった。

 

 深夜、フランス人のじいさんがチェックアウトして、大学生のA君と貸し切りになったむしむしと暑苦しいドミトリーで、それぞれのベットに寝ころびながら話をしていた。Aは大学生のくせにたまに大人びていて、妙な説得力のある独自の説を唱えたりして、面白いやつだ。そのときは、なぜかAIの話をしていて、世界をAIを乗っ取るんじゃないかとか盛り上がっていた深夜1時ごろ。

 
 電気を消して数分後、Aが「あ、いま幽霊が通った」とかいきなり言い出した。いやいや、幽霊とか全然信じてないし、霊感もないし、全く怖くないから。

 

 「まじで今います。ドアに、ほら」。はいはい、もういいから、これだから大学生は子どもなんだから。大人になると、幽霊とか見えなくなるから。

 でも、このホテルもその周辺も暗くて不気味な雰囲気で、あんまり夜道を歩きたくない。

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 「いま廊下に行った。あ、こっちにきた」。まじでやめろ。幽霊とか全然信じてないから。

   とかいいつつ、なんだか空気が重い気がする。もしかしたら、このホテルでなんか事件があったとか。少しずつ怖くなってくる。都会なイメージのギリシャだったけど、あちこちに落書きがあって、道端にごみも多いし、怖い気持ちが拍車がかかる。

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 「なあ、A、いま幽霊どこ?」「いま部屋から遠いっす」。

 

 すると突然、ブレーカーが点滅し始めた。廊下から物音も聞こえ始める。物音もブレーカー点滅もいつもしてるかもしれないけど、気になりだすと、気になる。彼が幽霊を感じたのは一生に2、3回目くらいとか言い出すし、それも妙に本当っぽく聞こえる。

 

 「おい、A、いまどこ?」「いま遠いっす。弱まってきました」。

 

 

 そして。やがていびきが聞こえてきた。え、寝るの、Aさん。

 

 怖くてシーツにくるまり、結局その後、2時間くらいは眠れず、怖い夜を過ごしたのだった。

 

 次の日、トルコを一緒に旅をしたAとは、しばしのお別れ。最後に「暗い日曜日」とかいう怖いクラシック音楽を流して「これ幽霊呼ぶらしいっす」とかたわけたことを言ってくる。


 気をつけてな、といいつつ、彼に幽霊が取りついていることを心から願って、お別れしたのであった。

 

  幽霊が通ったとかなんとか、この旅一番のどうでもいい話。でもAへの恨みを一生忘れないためにここに記します。

 

 次はエジプト編! 

 

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