元新聞記者の「世界道中、旅の途中」

元 新聞記者 世界一周旅記録

MENU

【チェルノブイリツアー】後編・笑う人は不謹慎?原発観光地化を考える

  ウクライナでは事故25年目となる2011年3月にチェルノブイリ原発事故ツアーを解禁した。思想家の東浩紀さんが中心となって日本の福島第一原発観光地化を計画するプロジェクトを進めているそうだ。大学生のときに起きた東日本大震災は3カ月後に訪れた。ツアーの様子の兼ねて、観光地化についても観光者目線で考えてみたい。

 

 予習編はチェルノブイリ原発事故の概要あり。 

 

  プリピャチ村

 原発に近いプリピャチは原発作業員の村だった。当時約5万人が住み、事故の深刻さを知らなかった人は数日間、普通に暮らし、被ばくした。開園直前に事故が起き、一度も使われることがなかった遊園地。チェルノブイリ事故の象徴的な場所の一つとして有名になっている。

f:id:shosho19890418:20160813231843j:plain

f:id:shosho19890418:20160813231925j:plain

 

 ガスマスクが散乱し、プリチャチ村が事故処理の最前線だったことがわかる。文化施設や学校にはツアーの集合時間を決めて、中を自由を回ることができる。ガラスが散乱し、ほとんど手付かずの様子だったので、足元を気を付けながら歩く。原発30㌔圏内にある食堂で夕食をとって、7時にキエフに着き、ツアーは終わった。

散乱しているガスマスク

f:id:shosho19890418:20160813231638j:plain

 

 散乱したままになっている書類。

f:id:shosho19890418:20160813231615j:plain

 

 チェルノブイリ原発観光地化は成功したのか

 笑う観光客、不謹慎?

  面白かったのは、ツアーは意外にも終始明るい雰囲気に包まれていたことだ。バスの中はドイツ人が楽しそうにウエハースを食いながら談笑していたし、一番後ろの席のカップルはいちゃついていた。これからリゾート地にいくんだなってもんだった。ガイドも時折冗談をとばし、みんなを爆笑させていた。世界最大の原発事故に行くんだなっていう実感は全くなかった。

f:id:shosho19890418:20160813231750j:plain

 

多い撮影スポット

 ツアーで巡った場所は当然、人が生活し、利用していた場所だ。幼稚園や学校、スポーツ施設。多少なりとも、入るのや写真を撮るのがためらわれたりするものかなと思っていたけど、ツアーでお金を払っている身分なので、僕も含めて堂々と写真を撮っていた。こういういい絵があると、みんな競うようにカメラやスマホを向ける。

f:id:shosho19890418:20160817002346j:plain

 

 こういう絵は恰好の写真スポットだ。わざとらしすぎて、ツアー会社が仕込んだのではっていうくらい。至る所に「わざとらしく」人形が座っていたり、ガスマスクが集められていたり。よくよく考えれば、ガスマスクは放射能を浴びているので、廃棄するはずでは?っていう疑問も浮かぶ。モニュメントの前ではガイガーカウンターを手に笑顔で記念撮影をする人もいた。

f:id:shosho19890418:20160813231539j:plain

 

チェルノブイリ観光地は大成功?フクシマも見習うべき? 

 さて、2015年の原発見学者は1万7千人。キエフのツアー会社も数社できた。観光名所がそれほど多くないウクライナにとって、チェルノブイリの観光地化は大成功だったといえるかもしれない。

 ツアーの様子を不謹慎だっていうつもりはない。ただ、ただの廃墟見学感が否めず、「被害者がどういった生活していたか」「苦境に立たされたか」といったチェルノブイリ原発事故の恐ろしさを想像できる材料はとても少なかった。放射能の恐ろしさや、その逆の感想も、抱かなかった。偉そうなことを言うと、被災者の話を聞く場を設けたりした方が面白いんじゃないかって思ったりもした。

f:id:shosho19890418:20160813224019j:plain

 「日本ならこういうアレルギーは強そうだな」と思う。不謹慎という批判を恐れて、施設をそのままツアーのコースにするのはためらわれそうだし、私物も本人に返されそうだ。周辺の施設もそのままっていうのは想像しにくい。「もっと被災者の気持ちになりましょうよ」っていう押しつけがましいツアーになりそうだな。

 

最後に 宇宙人「地球人のやることは理解できない」

 地球に宇宙人が住み着いている設定の富樫義博の漫画「レベルE」のあるシーンが印象に残っている。ある宇宙人が、初めて地球を訪れた宇宙人に地球を説明する。

 「地球人は自分の首をしめるのも好きですね。森林伐採や有害物質の垂れ流し、未整備な原子力発電所など、基本的に出したクソは他人まかせです」。

 説明を聞いていたマクバク族のサキ王女は不思議そうに尋ねる。「私達の価値観に照らすと短所ばかりに聞こえるのですが この星の人たちにとって良いことなのでしょうか」

 「さあ地球人じゃないのでわかりませんね」。

と違う話題に移る。

 種の保存や遺伝子の保護、命を第一と考えている宇宙人からすると、地球人のことが全く理解できないという話。

  チェルノブイリ4号炉のタイプは当時、研究者はソ連赤の広場においても安全と説明していた。安全管理がしっかりしてるイメージの日本でも事故が起きた。先日、日本では国内で2基目となる伊方原発が再稼働した。四国電力の再稼働の理由は現在黒字が続いているが、将来的な赤字を防ぐためという。

 

 宇宙人には、どれだけ豊かな暮らしになっても人類滅んだら意味ないじゃんっていわれそうな気がしている。

 

レベルE 上 (ジャンプコミックスDIGITAL)

福島第一原発観光地化計画 思想地図β vol.4-2

 

おすすめ記事はこち